恋愛テロリスト

BACK | NEXT | TOP

  第六幕 二人の記憶 6  

俺とビケは巨大な波の怪物に飲み込まれた。
ビケのやつがこの島の半分を飲み込む規模の津波だと言ったそれに
巨大すぎるその津波の力に逆らう術もなく
その力にされるがままだった。

だが、俺は絶対にビケを掴んで離さなかった。
波に流されているなにかに、何度も体を打たれ、にごった世界は視界無しと同じだ。
それでも俺は、ビケを守ろうと、ただそれだけを考えて
抱きかかえ、この体で守ろうと、波に流されながらも、ただそれだけを考えて・・・

そして、意識は遠ざかる。


「う・・・・・・」

「テン!」
俺を呼ぶ声がする、まだ瞼を開けられなくても、それが誰だかすぐにわかる。

ビケ・・・

痛みと気持ち悪さに襲われながらも、俺は目を開けた。
場所がどこなのか、己の状況よりも真っ先に気にしたのは、目の前のその存在の無事だった。

「ビケ・・・無事か・・・」

「バカだよね、テンは、僕はこんなことで死なないのに」

「ゲホゴボッ」
海水を飲み込んだ体で咽ながらも、俺は体を起こしながら、ビケの奴を睨んだ。

「だまれ!バカはきさまだっ、このバカがっっ!」

そう言った直後、俺の左腕に頭を押し付けてきたビケに少し驚く

「やっぱり、テンだ。

僕にとって、初めての、そして唯一の真友・・・」

ビケのその言葉で、俺は初めて気づいた、そして知った

俺が感じていたこの感情に
そして、初めてその気持ちを口にした

「俺はお前を死なせたくなかった。

友という存在があるのなら、俺にとっての友は・・・・・・


お前だ! ビケ」

ビケは俺のその言葉に強く頷き、そして笑った。あの夢見るような赤い瞳で、俺を見上げていた。


あの大津波から数日後、島の復旧もこれからという時に、ちょろちょろと姿をくらますビケの奴が気になり、
俺はビケを探した。

山の坂道を行ったりきたりしているビケを見つけ、後を追いかけた。

「おい、こそこそとなにをしている?!」

「あっテン!」

いつものあの海岸近くの丘の上で、ビケの奴は木材に囲まれていた。

「ちょうどよかった。手伝ってもらうよ」
にやり、と笑みを浮かべながら俺の腕を掴むビケ。
こいつなにをするつもりだ?

「船を作るんだ。人二人乗れるだけのね」

「船だと?なぜそんなものを・・・」
と言いかけてハッとした。
船を作る?
以前ジジイが俺に言ったことを思い出した。
ビケの奴が本土へと戻りたいと思っていることを

「島を出るんだ。本土に渡る」

そしてあの、下手すれば射殺されるような、あの鋭く真っ直ぐな赤い瞳でそう言う。

「島を出るだと」

「テンも当然来るんでしょ? 僕のいないこの島なんて、テンにとってはいる意味さえないよね」

「勝手に決めるな!」
だが、俺は反論できない。
ビケの言うとおりだ。俺にとってビケのいないこの島など、ただムダに時間が過ぎていくだけの空間でしかなくなる。

そんな俺の気持ちを知っているように、ビケは笑う。

「そうだ。手伝ってくれるお礼に、テンにいいものをあげるよ」


ビケは俺をそのビケのいういい物がある場所へと連れて行った。
そこは俺が行ったこともない山道で、島民も通ることもなさそうなほど道を遮るように木々や雑草が茂っていた。
ナイフでそれらを斬りおとし、足で踏みつけ、新しく道を作るようにして、ビケのやつは山道を登る。
道、道というのもためらわれるほどの、酷い山道だ。
そこはもう、気が遠くなるほど、長い間、人の往来はなかったのだろう。

なのになぜそんな場所をこいつは進む?
道などまったく見えないそこを
知っているように、迷いなくビケは進んでいく。

傾斜が終わったのを感じた頃、平地らしき場所についた。
だが、激しく茂る木々や雑草は、攻撃的なほど、俺たちのほうへ向いている。
なにもない、ここになにを思ってビケのやつは・・・?

「おいビケ! こんなところになにを」「ここだ、あったあった」

俺の言葉を無視して、ビケは歩を進め、少し進んだところでしゃがみこんだ。
ナイフで草を切りながら、ビケが向かったそこには
地蔵がひとつ収まる程度の祠のようなものがあった。

「また会えたな、お前に・・・」

「?おいビケ」

そう独り言をつぶやいて、ビケがそこから取り出したのは、一振りの刀剣。
古びたようなそれは、土や埃を被ってはいるが、だが、不思議と鋭く切り裂くその力を俺は感じた。

ビケはそれを俺の前にと差し出した。

「はいテン、これ」

俺はそれを受け取りながら

「なんだこれは?刀か・・・」
汚い鞘から抜き取ると、それは怪しげに眩く輝いた刃が見えた。
真剣だ。

「そう。それはね、この島の英雄の愛刀。

テンにはそれを扱う資格があるよ」

「・・・どういうことだ」

ビケは小さく声を漏らして笑いながら

「テンはそいつの血を引く者だから……」

「・・・なんだ、いったい・・・」

「でも残念・・・生まれ変わりじゃ、ないんだ」
小さくつぶやいたその言葉を気にするよりも、俺はその刀に見入っていた。
手にした瞬間、不思議な、なにか奥から突き上げてくるような熱いなにかを感じた。
その刀から伝わってくる執念、そんなものを感じて、俺はそれを己の物とすることにした。

ビケがなぜ俺にそれを渡したのか、そんなことに疑問を抱くこともなく
俺はそれが気に入っただけだ。



それから、毎日のように、朝早くから日暮れまで、俺とビケは例の場所で、こそこそと
船を作っていた。
指示を出すのがビケの仕事で、ほとんどは俺がやっていたようなものだ。
おのれ、ガキだからと調子こきやがって
毎日こそこそと抜け出す俺たちを見て、ジジイのやつも察していたらしい。
俺たちがなにをしていたのかを
だが、それを特に聞く様子もなく、ただいつものように日々が過ぎていった。

俺は本土への想いなど、ほとんどない。
ビケのやつが望むなら、とただそれだけだ。
だが、ビケのやつはなにかに急かされるように、船を作っていた。
本土になにを求めるというのだ?

早く早く、行きたい
そんな心の声が聞こえてきそうだった。ビケのやつから。

そして、ついに、島を発つ日がきた。
日付が変わる頃から、早朝まで、丘から船を移動させ、着水させた。
船に乗るビケの表情は嬉々としている。

俺は前日、ジジイから言われたことを思い出していた。

「ついに、発つのだな」

「やはり気づいていたのかジジイ」

ジジイはそれにこくりと頷いた。
「ああ、遅かれ早かれ、その日が来るだろうと思っていたからな」

少しの沈黙の後、ジジイの口が開いた。

「テンよ。頼みがある。

本土に渡ったら、お前にはビケのやつの側にいてほしい。

あ奴を守ってくれんか・・・いや、守るというよりも、見張ってほしい。

あいつは、きっと鬼が島へ行くだろう、そして、鬼王を・・・鬼一を・・・

いや、それよりも、わしが恐れているのはあの人を

ビケがあの人をもし手に入れてしまったらと、そう思うとわしは・・・」

かつての鬼王が、今は膝をついて震えているそのジジイに背を向けながら

「俺は俺の好きにする。ジジイきさまの勝手な願いなど俺は聞いてやれん」



俺は俺の好きに生きる。この海を越えて、本土について、自由の街Bエリアで
好き勝手に生きる、ビケとともに・・・
そう思いながら、船を漕いでいた。まだ大海原の真っ只中だ。

ビケの目はもう、まだ陸も見えない本土へと向けられている。
Z島のことなど、なにも気に留めてなどいない。
ジジイのこともなにも聞かないし、どうでもいいのだろう。

「早くBエリアにつかないかなー」

「そう思うなら、きさまも少しは漕げ!」

「楽しみだね、Bエリアについたら・・・」
そういいかけて遠い目をするビケ

「ついたら、なにをしたいんだ?!お前は」

「いろいろしたいね、でも1番は・・・・・・」

「なんだ?」

「秘密」

そう言って無邪気に笑いかけるビケ。
普通のガキと変わらないその笑顔に、心がほぐされる。
ふいっと、突然その笑みが終わったあと

「ねえ、テン。本土につく前に、約束があるんだ」

真剣なその顔は、今思えば、怖い顔だったかもしれん。

「なんだ?とっとと言え!」

「僕の大切なものを絶対に、奪わないで」

「フン、バカがっ。なぜ俺がお前のものなぞ欲しがったりするものか」

「本当だよ? 絶対に約束して」

「ああ、当たり前だ」

「本当!? 嘘は絶対に許さないからね」

「その代わり、お前も約束しろ!」

「ん、なに?」

「本土に着いたら、・・・絶対に鬼が島へは行くな。

お前はBエリアで、自由に生きるんだいいな!」

「うん、わかったよ。そんなことより早く漕いでよ」

「きさまが漕げっっ!!!」


そして、俺たちはついに本土へと上陸を果たした。
ついたのは、Bエリアだ。なにもかもが自由だというBエリア。
俺たちが生きていくのにはぴったりの場所だろう。

ついて早々、ビケのやつは

「テン。悪いけど、ちょっと用事あるから好きにしててよ」

「なんだと? ビケ貴様まさか、鬼が島に向かう気か?!」

ギンッと睨みつける俺に笑いながら否定するビケ。

「そうじゃないよ。テンは住む所でも探しててよ、じゃあ」
そう言ってビケのやつはとっとと俺の元から走り去った。

フン、勝手極まるやつめ。
だが、ここはBエリアだ。あの島とは違う。
ここでならビケの奴も他人の目を気にすることなく、自由に生きていける。

俺が誰よりもビケをわかっていると思っていた。
Z島で、過ごした時は二年ほどだったが
あいつが唯一心を許した存在が、俺一人であり、そして俺もまた
ビケを唯一の友と想い、ここまで来た。

そして、俺は勝手に、そこではお互いにとっていい未来しかないのだと思い込んでいたのだろう。

Bエリアについて、二度の夜を終えた。
ビケの奴は、あれから一度も俺の前にもどっては来ない。

ふざけやがってあのバカがっっ

俺は、あれからビケのやつを探していた。
この見知らぬ街で・・・

「ビケーーー!!どこにいる?! 隠れやがってふざけるなー」

名前を呼んでも応答はない。
「おい貴様! ビケを見たか?! 赤い髪のガキだ」
道行く奴をとっ捕まえてはビケを知らないか聞いた。

「はぁ? なんだよアンタ。見てねーよそんな奴」

「さぁな? でもそんなガキがちょろついてりゃ、攫われたり売られたりしてそうだけどな。ガキは需要あるらしいし」

「どっかでのたれ死んでんじゃね? ああ昨日も小汚いガキがドブの中で死んでたよな」

あのビケが簡単に死んだり掴まったりするわけがない。アイツの力ならどんな危険でも回避できるだろう。
通りには歩く連中がたくさんいやがったが
誰一人として、ビケのことなど知らなかった。

間違いなく、アイツは自分の意思で姿を消した。

「くそっっ、ビケめっ」
広場の噴水の前に腰ついて、姿無き存在に怒った。

怒る?
怒るだと?・・・俺は

俺は自分で思っていた以上に、ビケのやつに依存していたのか?!

「くそっ」
俺の手には、そのビケからもらったあの刀ひとつしかない。
そして、俺の中には、ビケという存在をとってしまえば、なにも残らないんじゃないのか?!

「く」
三度目のくそっを言いそうになった時、一瞬なにかが聞こえた。
そのなにかに、俺はなにかを感じた。

顔を上げ、すぐにそのほうへと足は動いた。
月が照らす女神像が見下ろすその場所に
その俺が感じたなにかがいた。

俺は立ち尽くしていた、その存在を数秒間、だが俺が感じていたのはもっと長い時間だったかもしれん。
その存在は、俺のほうへと向きかえり、そして、笑顔を向けた。

「こんばんは」
透き通るような柔らかな声、その一言だけで、それを強く感じられる。

「さっきの歌は、お前なのか」

確信した。さっき聞こえてきたのは、この女が唄っていた唄。
それにその女は笑みを湛えたまま、こくりと頷いた。

そして、ゆっくりと俺の前まで歩み寄り、少ししわを帯びた桃色の手を俺の頬に伸ばして、触れてきたそれは、見た目よりずっと柔らかく暖かで、そこからじわりとなにか、俺の知る言葉では説明できないなにかが
そっと入り込んできた。

心地よさにしばらく目を閉じて、柔らかい空間に浮かんでいる気がした。
ハッとして、目を開くとそこには俺を見上げる、なにもかも包み込んでくれるような瞳。

言葉をかわさずとも、この女は、俺の心を知っているかのように、それも俺の思い込み気のせいかもしれないが・・・
ビケがいないだけで、ただ心が弱っているせいかもしれないが

「あなたが、寂しそうな顔をしていたから、なんだかほっておけないわ」

「唄を・・・お前の唄を唄ってくれ」

考えることなく飛び出してきたそれは、俺自身口にした後驚いた、初めての欲求。

「ええ、私の唄でよければ」
女はにこりと柔らかく笑んだ後、俺から少し遠ざかり、そして息を吸い込む。
そのブレスでさえ、俺の鼓動を高鳴らせる力があるのか。

街灯をよけ、月明かりだけをスポットライトにして唄うその姿に、俺は見惚れていたのだろう。
白くなぞる輪郭と、黄色がかった白い髪が、なによりも美しいと感じた。
そして、俺からすればかなり華奢なその小さな体から発せられる歌声は
大きな力を秘めているようで、その力は、俺の瞳孔を開かせ、肌を刺激し、指先を振るわせる。

喉の奥から溢れそうな苦しさと痛みは、戦いで傷つくそれとははるかに違うものだと本能的に察する。
まばたきなどするものか!
呼吸などするものか、俺の呼吸音でその歌声をわずかに汚すのも嫌だと思い
喉の奥が乾こうとも、唾を飲み込むことさえ、絶対にするものかと。

ゆっくりと動くそのシルエットに、そして透き通る高音ながら暖かさを感じる歌声に
俺を見るその曲線の光に

そのすべてに、俺のすべては震えていた。

「あっ?!」

無意識の行動だったのか、感情の高ぶり故か、唄が終わった直後、俺は女を腕の中に捉えていた。

「ありがとう、嬉しいわ。

その涙があなたの悲しみも一緒に流してくれたかしら?」

俺の腕の中で、ふふ。と笑みを浮かべながら、見上げる女の髪と頬に、俺から落ちた雫が伝っていた。

「名前を・・・教えてくれ。俺は、お前をなんと呼べばいい?」

知りたかった、呼びたかった
そんな欲求も、その欲求の名前もまだよく知らず
俺はただ知りたかった、そして呼びたかった

「私はタカネよ。タカネと呼んでちょうだい」

「タカネ・・・タカネ・・・」
呪文のように、その名を口にする。

「あなたは? 私もあなたの名前が知りたいわ」

「テンだ」

「テン・・・不思議、あなたをなぜかとても近い存在に感じるわ」

そう言って俺を見上げる眼差しは柔らかで、朧月のようにほのかにかすんだ。


タカネ、タカネ・・・
その夜、俺が出会ったタカネという唯一無二の存在は、その日俺の中で絶対となり、すべてとなったタカネという存在は俺の正であり、清であり、聖であり、生となった。

タカネこそが俺の全て。
そう思った瞬間、あの頃ビケが俺に訊ねていたあの言葉を思い出す。

『ねぇ、テンは愛を知っている?』

今の俺ならば、あいつのそれに答え返してやれるだろう。

タカネこそが俺の愛だと。

だが、そのビケは・・・



「テン?いつもどこかでなにかを探しているの?」
「タカネ…、いや、俺は…」
「誰かを、探しているの?」
「いや…、もういい。もういいんだ。タカネ、俺にはお前がいれば」
「テン?」

「タカネ、お前さえいてくれれば、俺はそれ以上望むものなんてなにもない」

「テン、ええ私はあなたの側にいるわ。寂しい心を暖めてあげるから。
そんなに切なそうな顔をしないでちょうだい」
温かく柔らかなタカネの愛こそ、俺の救いですべてだと実感した。

タカネと出会った後も、俺はビケのやつを探した。
最初に別れた場所で、何時間も待ち続けたりした。
だが、結局ビケとは一度も会えないまま、時は過ぎ、俺はタカネとこのBエリアで暮らすことになる。

タカネこそ俺の全てであり、絶対的存在だ。
だが、ビケのことを忘れた日はなかった。

俺は確信していた。
ビケのやつは、鬼が島に向かったんじゃないのか?
自分を島流しにした鬼王に復讐をしにいったんじゃないか?

ジジイの妄想だと思っていたそれに不安が走った。
だが、同時に怒りがわいた。あいつは、約束をやぶりやがった。

ビケの消息は知れぬまま、月日は流れ、俺はタカネと過ごす日々に思いを刻んでいった。
ビケのことは気にかかりながらも、あいつはあいつで好きに生きる道を選んだ。
もはや勝手にしろ、そんな心境だった。

ビケなぞどうでもいい。
俺にはタカネがいるのだ、タカネこそ俺の生きる全てだ。

俺とタカネにとって幸福な時が流れていけばいい、そう思い日々を生きていた。
だが鬼が島は、タカネから唄う権利を奪い、そして、タカネ自身も、突然俺の前から姿を消してしまった。

タカネを探す中、俺はこのBエリアで、Aエリアにいるはずのタカネの孫リンネと出会った。
リンネとともに、Aエリア、Dエリア、と俺はタカネを探した。
タカネを攫ったのは鬼が島だ。タカネから自由を奪ってきた鬼共だと確信して。





「それで、Cエリアで、ビケさんと再会したのね・・・。

あの時テンはすぐにビケさんのこと気づいたんでしょう? ビケさんだって」
コロッシアムで、ビケさんがそう言ってたのを覚えている。

でも、どうして?あたしにはまだよくわからない。

テンはこの島で、ビケさんに助けられて、そしてお互いを友と呼び合えた関係だったのに
長い間生き別れただけで、その感情を消し去ってしまえるの??

ううん、たぶん、たぶん今でもテンは・・・
ビケさんを散々嘘つき野郎とか罵っていたけど、でもそれは・・・


「テンは、今でもビケさんのこと好きなんでしょ?」

ザ・・・
ずっと下の方から波の音がここまでよく届いてくる。
その音が、テンの心情みたいに切なく響いているようだとあたしは思った。

この丘の上で海を背にして立つテンはあたしのほうを向いている。
テンの返事を待つその時に、海から少し冷たい風が流れてきた。テンが眉を顰めてあたしを見て

ると感じたがその視線の先には

「ビケ!!」

えっ?!

あたしが振り返ったそこには、いつものように笑みを湛えた、だけど
貫くような強い視線をテンへと向けて立つビケさんがいた。
BACK | NEXT | TOP
Copyright (c) 2012/01/17 N.Shirase All rights reserved.
 

-Powered by HTML DWARF-