島魂粉砕

モドル | ススム | モクジ

  第五十話 今度こそ夫婦の儀!  

「なぜあきらめる? アイツを引き止められないなら、君がついて行けばいいんじゃないか?
島を離れたくないのなら、アイツが島にいたくなる様に考えをめぐらせればいい」

励ましてくれたジンヤの言葉。
島を離れたいキョウジの想いに、自分の想いは届かない。それがわかって、またシズクは想いを封印したいと思ってしまった。だが、ジンヤの言葉にシズクは勇気をもらった。

わたしも変わらなきゃいけない。

悩んでいるうちに、時間は無常にも過ぎていく。
頭の中で時計の音と太鼓が鳴っている。戦いのリズムみたいに。
そう、戦いなんだ。
これは乙女にとっての戦い。

八年前に封じた恋心は、禍から解放されたと同時に目を覚ました。
もっと早く気がつきたかった。だが逆に考えれば、禍のおかげでたどり着いた答えとも言える。
いっぱい迷惑かけたけど、無駄じゃなかった。そう思いたい。

禍はシズクの恋を阻んだが、キョウジを島に止めさせるという願望は叶えてくれた。
でもそれじゃだめだ。本当に叶えたいことは、自分の力で成就させなきゃ意味がない。
きっとキョウジならそうするだろう。禍に誘惑されても笑い飛ばして拒否するだろう。

わたしはわたしに願うよ。わたしを動かす最後の力はわたし自身。

月を見上げて、シズクは誓う。己自身に。そして向かう、想い人のもとへ。





縁側に足を投げ出して、キョウジは月を見上げていた。

「すげー晴れてんな。明日は快晴か」

儀式が終了した時、どんな空が見えるだろう。禍が解き放たれ、島はどう変わるだろう。島の人たちは? 海坊主はいなくなるのだろうか、それとも?
今から考えても仕方ない。だがキョウジは思う。それはいい方向へと向かう変化になるだろうと。人を運搬する航路ができればいい。本土からの貨物船があるのだから、不可能ではないはずだ。
本土には貨物船などを作っている造船工場がたくさんあるらしい。マサトが乗っている車も本土で作られたものだ。ぜひともこの目で見ていろいろと学び、技術を身につけたい。キョウジは結構本気で発明家になりたいと思っている。誰も認めてくれないし、バカにされてばかりのキョウジの夢はかわいそうだ。それでもあきらめるつもりはなかった。
自己表現、自分が自分であるためのこと。

父もジンヤも、キョウジの夢にまったく理解を示してくれない。島を出るという神経が理解できないと言う。
島を出るということがまず異端。禍のせいで、皆キョウジに否定的だった、とキョウジは思う。
だから、禍を解き放てば、皆とは言わないが理解してくれる人はいるだろう。最低でもメバルはわかってくれそうな気がする。

「(僕が島を出ることは、結果みんなのためにもなるんだよ。まあそれは自分で証明しなきゃなんないけど)」


「ぐかー…」

奥の間からメバルのいびきが時折聞こえる。エロ本読んではしゃぎまくって疲れて爆睡している。シズク姉ちゃんが来たら起こしてよ、と言っていたが、かわいそうに。
シズクは今頃ジンヤのところだろう。時間的にそろそろ婚姻の儀を始めていてもおかしくないか。
こっちはアラシがすでに儀式の間での準備を整え終えているが、用意しただけ無駄だろう。メバルが期待している分、本当のことは言えないが。

「今頃ジンヤの奴も…。いくらヘタレの童貞でもなんとかなるだろ。責任感は強い奴だし。シズクのエロイ体見たらその気になって…、ってなに想像しかけてんだよ…」

シズクのエロイ体を思い出しかけて、あほかと自分に突っ込んで息を吐く。
そろそろ寝るか、とキョウジは立ち上がった。草場に立つシズクと目が合った。なんだよ、妄想が具現化したのか? 疲れてんだな寝よ寝よと思っていたら「キョウジ」と妄想のシズクがしゃべったので驚いて二度見した。

「なにやってんだよ、シズク場所間違えてんぞ」

間違いなくシズクはそこにいた。てっきりここを北地のほうだと勘違いしてしまったのだろうと思った。夜だし、方向感覚が狂ってもおかしくない。一応建屋の前にある灯篭にそれぞれの家の名が刻まれてはいるのだが。

今シズクがここにいるということは、ジンヤと儀に及んでなかったということになる。まさかジンヤの奴がシズクを突っぱねて追い返したのでは?

「たくジンヤの奴。僕がアイツを説得してやるから、一緒に行こう。親父さんに頼めば、ジンヤの奴も考え直すだろうし」

「違うよ! わたしはキョウジに会いにきたの!」

「は? なんで」

会いに来たということは、儀式の相手にキョウジを選んだことという意味なのに、キョウジはさっぱりわかっていない。
なにか用事があっただろうかとキョウジは考えるが、考える方向が違っていた。

アイツはバカだからハッキリ言ってやらないとわからんぞ。

ジンヤが言ったとおりだ。キョウジってばどこまで乙女心に鈍いんだろ。
遠まわしにわかってと言ってもわかってくれないだろう。
ダイレクトに本心を伝えるしかない。

「わたしはキョウジと婚姻の儀をしたいの! 今度こそ本当に、キョウジと結ばれたい」

緊張で破裂しそうな胸をぎゅっと抱きながら、シズクはキョウジに想いを告げた。今度こそわかってくれるよね? そう強く願いながら、真っ赤な顔でキョウジを見上げる。

「今更そんなこと言われても。僕と婚姻してもシズクにいいことはないと思うけどな。
まだ親父にもちゃんと話してないけど、解封の儀が済んだら、島を出るつもりでいる。
僕と一緒になったって、面倒見てやれないし、離れることになるけど」

「そんなことわかってる。わたしは、キョウジの想いを尊重する」

「ムリすんなって。ジンヤに断られたからってヤケになんなよ。簡単にあきらめんな」

やれやれとキョウジは頭をかく。後頭部の絆創膏にちょっとひっかかって「やべっ」っと手を離す。が気にするとこはそんな傷のことじゃない。ここまで言ってもキョウジはまだシズクはジンヤが好きだと思い込んでいる。しかもジンヤに拒否られて、やけっぱちになっていると勝手な思い込みつきでだ。

「もう、違うって言ってるじゃない!」

痺れを切らして、シズクは縁側の上のキョウジへと飛びつく。「うわっ」とキョウジの悲鳴が情けなく上がり、そのまま転倒する。危うく頭を打ちそうになったが、すんでのところで筋肉に力を入れて、肩を打った程度で止められた。

「お前な、なにすん」キョウジの文句は無理やり遮られた。馬乗り状態のシズクに強引に口付けられて。もがきかけた体は、シズクの体重と、熱い鼻息のかかるキスで固まらせられた。

「シズク…」
驚きの顔でキョウジが見上げる。てか重い、腹筋が死にそうになる。しかし感情が高ぶっているシズクはキョウジの腹筋の状態などに気づくはずもない。

「わたしが好きなのはキョウジなんだよ。ジンヤにはふられたけど、それでやけ起こしたとか違うんだから。ジンヤが指摘してくれて、気がついたの。キョウジを嫌いになったのは、感情の裏返しなんだって。禍が封印されて、わたしやっと素直になれそうなのに、キョウジってば全然わかってくれないんだもの!」

なんでわかんないのバカバカと泣きながらシズクがぽかぽか殴ってくる。タックルかまされてムリチューされて逆ギレボッコとか、「ちょっと落ち着けよ」とシズクをなだめる。そうしないとまた怪我が増えてしまう。

「わかった、わかったから」

「わかってない」

やれやれと鼻息吹いて、興奮状態で聞く耳持たないシズクの腕を掴んで引き寄せ、口付けで口をふさぐ。猛獣をコントロールする猛獣使いのごとく。
ゆっくりと体を起こしながら、シズクを腹上からどかし、互いに座った状態で見合う。

「本当にいいのか? 人間相手の婚姻は禍相手とは違う。どちらかが死なない限り、婚姻関係は解消できない。それでも」

キョウジの袖元をきゅっと掴みながら、シズクは「うん、わかってる」と答えた。真剣な目でキョウジを見つめ返しながら。その決意は固いのだと、キョウジも気づいてくれた。

「キョウジ、儀式の間で準備のほうはできているからな」

「うわっ親父!?」

背後からアラシに呼びかけられて、キョウジは驚いてはねた。今までのやりとりを聞かれていたのだとしたら、恥ずかしい。さすがに騒ぎすぎて、メバルを起こしてやしないかと心配になったが、まだメバルは爆睡していた。

「メバルのことならきにしなくていい。北地で寝かせてもらうから。お前たちは気にせず、しっかりと儀式をするんだ。
シズクちゃん、心配しなくてもキョウジなら島を離れたりしない。かわいいシズクちゃんを置いて出て行けるわけないだろう。照れ隠しなだけだ。なぁキョウジ」

「親父、余計なこと言うなよ!」

どさくさにまぎれて、なに人の夢を阻止しようとしているんだこの親父は、とキョウジが憤る。

「はい、今度こそ夫婦の儀も成功させます」

「シズクちゃんにここまで言わせたんだ。キョウジ、しっかりやるんだぞ」

余計な念を押して、アラシはぐーすか寝息をたてるメバルを抱えて館を出た。

アラシに水を差された気もするが、「じゃあ」と言ってキョウジは腰を上げる。儀式の間へと向かい、間はすでにアラシによって婚姻の儀が行えるよう、整えられていた。少し前はここでメバルが封印の儀を行った。そして今夜は、婚姻の儀と夫婦の儀が決行されることになる。室内には唯一の灯りの手燭が置いてあり、だが意外と明るかった。
守りの呪術が施されているため、儀の最中は風東の者以外侵入される心配はない。禍も入ってこれないはずだ。

間の中央で、キョウジとシズクは向かい合って座る。儀式用の術紙を目の前に置く。

「手順は覚えているよな?」「うん」

婚姻の儀は以前キョウジと風東の家で経験済みだ。あの時は禍と結びついていたため、儀式は失敗してしまった。それも後になってわかったことだが。夫婦の儀が失敗したのも、婚姻の儀にそもそも失敗したためだろう。シズクの中の禍が頑なにキョウジを拒否していたせいだ。

今度こそは。そう願いながらシズクは指先の皮を噛む。キョウジとシズク互いの血を術紙に染み込ませて、キョウジが術を唱える。
ろうそくの炎が揺れる音、そしてキョウジの声が間の中で響く。とくとくと体の中をめぐる血液の音が聞こえてくる。中でなにかが活発に目覚めていくみたいに。なにかっていうのがなにかかシズクにもわかっている。目の前の相手と強く結ばれたいと欲する感情に直結する体の変化。

「(もしかしてキョウジも?)」と思う。
灯りのせいかもしれないが、キョウジの頬も赤らんで見える。
キョウジの口から紡がれた呪文が終わる。ふー、と息を吐きながら腰を浮かせる。

「(ヤバイな、これが婚姻の儀の効能ってやつなのか。親父はハッキリ言わなかったけど、そういうことね)」

婚姻の儀が成立したことをキョウジ自身実感していた。
体が急かす、早くシズクの中で放ちたいと。シズクのほうを見ると、シズクの頬は赤く染まり、瞳孔が開き、興奮しているのがわかった。はっと息を飲み込んで「キョウジ!」と叫んで、シズクが抱きついてきた。ムチムチに張り裂けそうなおっぱいをキョウジの胸に押し当てながら、唇を重ねてくる。まだキスに手馴れてないぎこちなさだが、情熱炸裂でぐいぐいとキョウジの中に入り込んでくる。
犯されるってこういうことか、とシズクの強引なラブアプローチにやや引きながらも、それに応えるように舌を絡ませる。腕を腰に回して圧迫するように抱きしめる。

「んんっ…はぁ」
ゆっくりと口を離す。互いを繋いでいた蜘蛛の糸のように伸びた唾液の糸は、重力にしたがって床にぱたりと落ちる。シズクは苦しそうに息をするが、苦痛ではなく、気持ちよい苦しさから出る吐息。

「もっと、して」

キョウジの首に腕を回して、シズクはもっとしてほしいとキスをねだる。唇に、頬に、髪に…キスを落としながら、乳房を揉んだり、太ももを擦ったり、シズクのムチムチボディをほぐしていく。
まだあまり触れていないのに、シズクの体はすでに受け入れ態勢万全とばかりにストレッチ済みのように柔軟で、じっとりと濡れたショーツは透けてしまっている。

「(すっげぇエロイんだけど、シズク)」
体だけじゃなく、シズクの行動そのものが。わざとなのか儀式のせいで気分が高揚しているせいかしれないが、挑発するようにいやらしく体を擦り付けている。

「ちょっと待てシズク、ここじゃ痛いから、な」

興奮してはぁはぁと息を熱くしているシズクを、脇を抱えて膝上から下ろす。
「布団の上でな」とキョウジは部屋の隅に敷かれた布団を指す。「うん」とシズクは素直に従って、布団の上で服を脱いで、ブラジャーも外し、シミーズとショーツだけになった。薄い生地から乳房の形とその先端もハッキリと透けて見えて、全裸よりエロイなと感じてしまった。いやツッコミどころはそこではなく。

「シズク、ムリしなくてもいいぞ。布団の中で体見えないようにしてすることも可能だし」

少し前まで恥ずかしいと、ひたすらに触れられることにも拒否反応を示していたシズクだ。夫婦の儀を成功させなければいけないというプレッシャーで、ムリをしているかもしれない。

「夫婦の儀も呪術の儀式の一環だ。明日の儀式を成功させるためにも、封印の儀を無駄にしないためにも、この儀式は成功させなきゃいけない。
だからといってシズクが気負うことないからな。お前にとっては初めてになるわけだし、嫌な記憶にはさせたくない」

だからムリするな、とキョウジはシズクに言う。シズクは布団の上で膝をついたまま、目をぱちくりとさせる。

「わたしあんまりそのこと考えてなかったわ。そうね、一応儀式の流れになるのよね。
そりゃ全然恥ずかしくないってわけじゃないけど、でも夢の中でいっぱいえっちなことしてきたじゃない」

きゃっと恥ずかしそうに頬を手で押さえながらシズクはそう言った。夢の中という妄想の中の話をされてもこっちはさっぱりわからない。まあとにかく、シズクはムリをしているわけじゃないらしい。
純粋に、愛する人と結ばれたいだけ。愛し合って感じあいたいだけ。

「だから、キョウジも…」

じーっとシズクの視線はキョウジの膨らんだ股間に集中している。「ちょっお前どこ見てんだよ」とキョウジのほうが内股になって股間を手で隠す。どっちが恥じらい乙女かわかったもんじゃない。てかお前普通なら「やだー」て頬染めて目線を逸らすポジションだろ。処女じゃなくて痴女になってどーすんだよと。

着替えを用意しているわけでもないので、服を汚しても困る。どうせ脱ぐもんだし、とキョウジもつなぎを脱いでパン一になった。
ジロジロとシズクの目線が上下するのを感じて、視姦されてるようで、全身から変な汗が噴出しそうだ。女子からしたらマサトみたいにいい感じに鍛えられた体にときめくだろう。貧相な体でガッカリさせて悪いなという気持ちになる。やはり少しは体を鍛えておくべきだなとインドア男子も考える。しかしシズクはキョウジの体を見て、ガッカリどころか頬染めて口元がにまりと口角が上がっている。

「もう、えっちでいけない体なんだから〜」

さっぱり意味がわからない。男からしたらシズクのムチムチボディはたしかにエロイ体なのだが、キョウジの体が女目線で「えっちでいけない体」に映るものなのだろうか?

「(えっちでいけないってどういう意味なんだよ。ようするにダメってことをポジティブに表現してんのか?)」

シズクの感想にげんなりさせられるキョウジ。キョウジの受け止め方はともかく、シズクは純粋に感激していた。恋する乙女フィルターというやつで、好きな人のすべてが特別ステキに見えてしまう奇異な現象だ。

「ねえ…、キスしてもいい?」

「え、ああ…」

突然のシズクの要求になんだろうと思ったが、キョウジは素直に応じ、しゃがもうとしたら「そのままでいいよ」とシズクに言われたのでそのままつっ立っていた。這いながらシズクはキョウジの足元まで来て、ドキドキしながら顔を上げた。

「ちゅっ」

「!? ちょっおまっどこにしてんだよどこにっ」

てっきり唇そこらだと思い込んでいたキョウジは布団の上にひっくり返ってうろたえる。まさかパンツごしとはいえ、股間にチッスされるとは予想外だ。

「だって、キョウジのソコがしてほしそうなかんじだったから」

封印の儀はシズクから禍だけじゃなく、羞恥心も一緒に封じてしまったのでは…。それとも、これが本来のシズクなのだろうか。

股間チッスできゃっきゃっじゃれあっている場合じゃない。時間は刻々と過ぎていくもの。明日に備えて、早く休養しなければならない。

布団の上にシズクを寝かせて、覆いかぶさる。

「いい加減夫婦の儀、始めるぞ」

シズクの顔もきゅっと緊張した表情に引き締まる。散々エロ妄想してても、本番となれば緊張するのも無理ないだろう。男を受け入れたことのないシズクの体には、並レベルのキョウジのモノでも立派に凶器だろう。守りの呪術の影響で体にかかる負担はいくらか軽減されるが、メンタルにかかる負担が身体に影響を及ぼすこともある。

「シズク、大丈夫か?」

キョウジの問いかけに、シズクはキョウジの肩をきゅっと掴みながら、潤んだ目で見上げる。

「うん。わたし、早くキョウジと結ばれたいよ」

言葉だけじゃなく、体も連動するように。キョウジを掴む手に力がこもる。シズクの首の下に手を添えて、キスをかわす。キョウジの右手がシズクの白い肌の上をすべる。傷のあまりついていない指の腹で愛撫する。下着の上から啄ばむように口付ける。弾力のある白い山の突起に吸い付くと、シズクが「ひゃん」と悲鳴を上げて反応する。やっぱりシズクは胸が感じやすいんだな。肌触りのいい素材の下着をめくり上げ、白い素肌が晒される。ひんやりとした体感より、キョウジの息がかかってじんわりと暑いくらい。

「(ほんとエロイ体だよな)」

しみじみとそんな感想を抱きながら、舌を這わせ、シズクの肌を味わう。両手で下から持ち上げるようにムチムチおっぱいをもちもちと揉みながら乳首を吸い上げる。

「やぁっ、そんなされたら、わたし…変になっちゃうよぉ…」

ペロペロした結果、唾液に濡れたシズクのおっぱいは見た目にもエロさがアップした。ますます興奮したシズクがお腹で息をしているため、ぷにっとした腹筋も艶かしく動いて、とろとろにとろけた恍惚の表情、全身からエロさが溢れていた。これも婚姻の儀の効能なのか、シズク本来の雄を惹きつける魅力なのかわからないが。キョウジの男の欲望を刺激する。また駆り立てるようにシズクが腰を浮かせて摺り寄せてくる。

もったいぶる必要なんてない。
とっととシズクの中に己をぶちこんで放つ。それで儀式は終了する。

シズクの腰を浮かせながら、体液で張りつき気味のショーツを脱がす。キョウジも最後の一枚を脱いで、「いくからな」と合図してシズクの体にゆっくりと密着する。シズクの扉にキョウジの鍵の先端が触れるといった直前に、シズクが「待って」とキョウジの胸を押して待ったをかけた。
直前になって恐怖が襲ってきたのだろうかと心配したが、シズクが待ったをかけた理由はそうではなく、彼女にとってはとても重要なことで。

「わたし、まだちゃんとキョウジから聞いてない」

シズクが望むのは、キョウジとセックスすることだけじゃない。愛する人と心身ともに結ばれたいという願望。体で触れられて、感じあうのも嬉しいけれど、そこにはちゃんと想いがあってこそだから。
ちゃんと言ってほしい。キョウジの言葉で。

「ああ悪い、すごい今更感なんだけど…。僕は、シズクが好きだ」

シズクの顔に喜びの笑みが広がる。

「うん、わたしもキョウジが好き。大好き!」

キョウジの背中に手を回して、抱きしめる。キョウジはシズクの腰に手を回して、抱き上げる。腰を沈めて、シズクの肉の扉をこじ開ける。

「あぁっ! キョウジっ」

刺激に反応するようにシズクが悲鳴を上げてキョウジに強くしがみつく。肩を敷布団にこすりつけながら必死に耐えるように、シズクは体を震わせる。

「(やっべぇ、シズクの中ムチャクチャ気持ちいい…)」

シズクの内部もきっとエロイことになってるんだろうなと思いつつ、キョウジを快楽の海に運ぶように、締め付けてくる。これも婚姻の儀の効能なのだろうか。自然と腰が動いていた、と思ったら、シズクが動いていたためそれに釣られて動いていたことに気づいた。

「お、おい、シズク大丈夫か?」

ムリしてがんばってるのか? 自分ばかりが気持ちよくてシズクの負担を考えていなかったことに気づき、キョウジは焦ったが。シズクの口からは快楽からもれる喘ぎで、苦痛は見えない。

「だ、だめぇ、わたしこんな気持ちいいのっっ。やぁん、おかしくなっちゃうー」

やだやだ言いながら自ら腰を振って、ムチムチおっぱいはリズミカルに揺れている。キョウジのブツが搾り取られるのも時間の問題だ。
快楽の中気が遠くなりそうになりながらも、そんなシズクを見ながら、以前の禍のせいでエロモードになっていたときよりはるかにエロくないか?この女…、と心の中でつっこむのだった。
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