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第51話
「アクアちゃま!」
うれしそうに真ん丸い目を輝かせてマリンは主人を見つめる。
その視線の先にいる主人も、希望に満ちたように強く前を目指すような目をしていた。
アクアは散らかったままの自室の書物をそのままに部屋を飛び出しある場所へと走った、マリンを胸に抱えて
「アメジ!!」
アクアが向かったのは寺院だった。アメジに伝えたいことでもあるのかマリンと共にアメジを探す。
「なんじゃ?!小僧なにしにきた?!」
寺院奥の部屋から出てきたのはやはりラルドだった。
額に血管を浮かせながら、赤い顔をさらに赤めて現れた。
しかし、アクアはそんなラルドを存在してないかのようにスルーし、再びアメジの姿を探し、寺院奥へと進む。
そんなアクアにますます血圧を上げながら、ラルドはアクアの進路を妨害する。
アクアはそんなラルドを睨みつけるとラルドはさらに倍の迫力で睨み返す。
そんな二人の間でマリンは小さな声でラルドに「じゃまちないでくだちゃい」と訴える。
「アメジはどこだ?大事な話があるんだ!」
とにかくこんなくだらない時間を費やしているヒマはないとばかりにアクアが言う。
アクアの表情からラルドはアクアの言いたいとすることがなんとなくわかった、そしてそれに勝利したと信じるラルドはにやりと不気味な笑みを浮かべながら答える。
「アメジ殿ならおらんわ、水晶神殿に行っておるからの♪」
ラルド勝者の笑みで鼻息まじりにそう言いながらアクアを見下ろす。
それにアクアは「水晶神殿?なぜ?」と眉間にしわ寄せ、ラルドを睨む。
「小僧、勝負はワシの勝ちじゃ。
水晶神殿にこそ、黒水晶を倒すカギは眠っとるんじゃよ!」
高らかに笑うラルド、だがアクアは動じなかった。
「ふふは、小僧自分を敗者だと認めたか?」
目を細めながら厭らしい顔でアクアを見ながらラルド
そんなラルドを嘲笑うようにアクアは言い返す
「敗者はそっちだ、黒水晶を倒すカギが眠っているのは水晶神殿じゃない。
天上神殿だ。」
「天上神殿じゃと?」
アクアの答えに眉を寄せるラルド、だがアクアは自信ありげに頷く
天上神殿・・・・
このリスタルに存在する遺跡の中で最も古い遺跡と言われている、そこには岩壁を削り、石窟内には巨大な石と土で作られたとされる太陽神の像が祭られていた。そして別名ルビィの遺跡とも呼ばれルビィの偉大さを称えた石版や石像なども残されていたという
そして、このリスタルで黒水晶のやってくる山脈に最も近い、最も天に近い場所にある遺跡であった。
アクアは数々の書物を調べながら、その答えを見つけ出したのだ。ただそれは確実ではない、希望というか確率の問題というか、しかし、なぜかアクアには絶対の自信があった。
それが確かになかったとしても、手がかりになるなにかは確実にある気がしたから
そしてその自信はもしかしたらきっと、アクアの中でのアメジという強い存在があったからなのかもしれない
「紅水晶・・・。」
「は?」
「ルビィが黒水晶の毒を受け、自ら結晶化させたというあの紅い石だ。」
初代族長のルビィが黒水晶の毒を受け、一度命を落としながらも自分の体内でその毒を浄化し、その毒を結晶化し生み出したと言われる伝説の赤い石のこと、それを人々は紅水晶と呼んでいた。
その紅水晶はルビィの死後も強烈な力を秘めたまま、その力はリスタルの民の大きな救いとなっていた。それを手にした者は水晶の力を手にしたり、黒水晶の毒で死の淵にあったものが生気をとりもどしたり、人と聖獣との絆をさらに強めたりと、数々の恩恵があったと言われる。その後の紅水晶の行方については様々な説があったが、その中のひとつに天上神殿に収められたというものがあった、アクアはその説を信じ、そこにあるかもしれない紅水晶に望みを抱いたのだ。
しかし、アクアのそんな希望を打ち砕くようにイジワルにラルドが言う
「ふふん、今更なにを言うとんじゃ、その紅水晶のことならお前が生まれる前にワシや先代の大神官もすでに何度も調査済みなんじゃよ。天上神殿には太陽神の巨大な神像しかないわ。
それにあの神殿に続く唯一の道はもうなくなっとる。
だれもあそこには辿りつけぬわ。
わざわざ黒水晶のえさになぞなりにいくバカがどこにおる。」
「・・・・」
ラルドに否定されながらも、アクアはそれを鵜呑みにはできなかった。自分が見つけた答えを簡単に捨てられなかったし、なによりアクアはラルドに不信感を抱いていたから余計にだ。
「行こう、マリン。」
アクアはマリンを胸に抱き上げると、ラルドに背を向けた。
アクアは紅水晶を必ず見つけてやるとラルドに強く宣言すると寺院をあとにした、ラルドは生意気な小僧め!と憤怒しながらも、自分が勝者と信じているのでどこか勝ち誇った厭らしい笑みを浮かべていた。
アクアは希望を見つけた、そしてなぜか未来の光を感じていた、それはアメジの存在が、アメジの言葉が力をくれていたから
「かっこいい生き様・・・か。」
アクアは以前アメジに言われたその言葉を強く胸に刻み込んでいた。どうもテキトーに言われたような感もうけるそのセリフだが、でもアメジなりにアクアを勇気付けようとしたそれは、アクアにはちゃんと伝わっていた。
今アクアは生まれて初めてのその感情を強く自覚していた。
戻る。
第52話
ラルドなど最初からあてにしていなかったアクアはマリンを抱え、一人その場所へと向かおうとしていた。
伝説の紅水晶を求めて
一度としていったこともないその場所へ、天上神殿へと向かおうとしていた。
マリンの首からは小さな赤い巾着袋が提げられていた。
紅水晶を入れるためのもの
アクアがマリンとともに街の上部より街外へ出ようとしたとき、彼を呼び止める声が下からやってきた。
「あっ」
その存在に気づいたマリンが小さく叫んだ。
「アクアさん、待って・・・」
走りながら階段を駆け上りアクアの側へとやってきたのはサファだった。
「さっきおじいさまとのやり取りを耳にして
アクアさん、本当に天上神殿に行くつもりですか?
ひとりで・・・?」
アクアを心配してやってきたのか、そういうサファにアクアは特に反応する様子もなく、返事もせずにそのまま外へと向かった。
「あっ、ちょっ」
サファを無視して外へと勝手に向かうアクア、アクアは未だにアメジ以外の人間とはろくにコミュニケーションをとろうとしてなかった。人間不信なとこもあったが、アメジ以外の人間には心底興味がなかったからでもあった。
自分を無視して出て行くアクアをサファはさらに呼び止めながら、彼の後を追った。
アクアは少し坂を上った先の広場へと出たあと、水晶神殿へと続く道とはまた別の道へと向かった。
そこからさらにずっと登る。
ここリスタルの山は岩肌の露出した殺風景な山ばかりだ。
そんな山の岩壁を掘り、数々の遺跡や神殿が昔から造られてきた。このリスタルの遺跡の特長はほとんどが岩壁を掘られて作られた石窟神殿である。
その神殿の中に、神聖な道具を納めていたり、神や精霊を形にした石像や壁画など、中には黒水晶との戦いの歴史を書きのこした書物や石版なども多くある。
アメジのいた水晶神殿より山脈にほど近い遺跡は多数存在した。昔は巡礼者や研究者などがその遺跡を巡る事も多かったが、黒水晶の被害が増えだしたこの時代になってからはその危険を冒してまで遺跡へと向かう者は一人としていなかった。
アクアの言う天上神殿はこのリスタルで最も天に近く、もっとも道のりの困難な遺跡である。
さらにそこへと続く唯一の道は10年以上も前に黒水晶が原因で山肌が破壊され、それによって道が完全にふさがれなくなってしまっていた。
そのため、もう十年以上も神殿にたどり着いたものはいなかった。
マリンを胸に抱えたまま、アクアはゆっくりと山を登っていく。
道はあるとはいえ斜面はけっこうな角度で、そうとうな疲労があった。あまり激しい運動をすることがない上、体の強くないアクアにとってはけっして楽ではない道のりだった。
それでもアクアは信じるもののため、歩みを止めることは無い。
そんなアクアを追いかけてきたサファの声が下から近づいてきた。
「アクアさん、待って
本気で天上神殿に向かうつもり?」
アクアを心配しているかのような口調のサファをアクアは相変わらず無視して歩き続ける。
「アクアさん、ちょっと」
サファはすぐアクアのうしろを歩きながらアクアに呼びかけていた。すでに息が荒くなっているアクアとは対照的に、サファはまだ余裕で登っていた。
しばらく登っていると、途中で道がなくなってしまった。
道の先が・・・山になっているのだ。
ハァハァ
息が切れながらも、アクアは冷静に考えようと立ち止まり、周囲を見渡す。
ふっと横を見下ろすと、リスタルの街がずいぶんと小さく見えていた。もうずいぶんな高さまで登っていたのだ、ここまできたのはアクアは生まれて初めてだった。
その高さに恐怖を覚えながらも、アクアは落ち着きながら道を探す。しかし、途切れたままの道の先は見えてこない。
「みちが・・・ないでちゅよ、アクアちゃま。」
アクアの胸元で不安な声を出すマリン
「くそ、おかしい、この先にあるはずなのに」
途方にくれそうになるアクア
「いいえ、あっているわ、この先よ」
そう言ってアクアの横を通り抜けたサファはそのまま山を登りだした。
山といってもほとんど斜面、しかもごつごつと足場はかなり不安定で簡単に登れそうになく
だがサファはためらう様子もなく、足をくぼみにかけながら、力強く登っていった。
そんなサファの突然の行動に一瞬驚きをみせたアクアだったが
「私途中までの道知っています。
子供の頃、父と登ったことがあるんです。
大丈夫です。もう少し登っていけばちゃんと道が見えてくるはずなんで・・・・・
アクアさん・・・大丈夫ですか?
私マリンちゃんだけなら連れて行けると思いますけど」
余裕な表情で途中まで登りかけたサファはアクアへ振り向きながらそう言った。
まるで女のサファにバカにされているように感じられたアクアは軽いライバル心を感じ、負けるかと壁に近い山を登りだした。
俺の道をこいつに邪魔されて堪るかと
くやしい想いがアクアの体を動かした。
そんなアクアとはまた違う思いでサファは登っていた。
そしてその想いこそのちのサファの人生に大きな影響を与えることになるとは、まだ当のサファも気づいてはいなかった。
「ああ、なんか懐かしい
そして、すごく気持ちいい・・・・そうあの時もたしかにこんな気持ちになったのを覚えている。」
その気持ちは懐かしくあり、そして最近は感じることのなかった感覚・・・・・
新鮮な想いでもあったのだ。
戻る。
第53話
「むぅ、おじい様もおじい様ですけど、ガーネもガーネですぅ。」
街の通りを少し脹れた表情でエメラは歩いていた。
そんなエメラの視界にある人物の姿が入り、エメラは閃いたような表情でその者の元へと走る。
「ガラスさーん♪」
その向かう先にいたのはガーネの友人のガラスだった。エメラに気づいたガラスは慌てて、走りながら自分へと近づいてくるエメラと微妙に距離をたもちながら
「あ・・・エメラちゃん・・・こんにちは・・・」
ぼそぼそと小さな声で返事をする。爛々なエメラから視線をちょっと逸らすガラス
それに敏感に気づいたエメラは
「ガラスさん、もしかしてエメラのこと嫌いですか?」
元気なエメラでも自分を避けるような態度には少なからず傷ついた。それにガラスは慌てて
「あっ、ちがっ、あの・・・ボク
女の子と・・・・話すの苦手で・・・ごめん。」
大きな体を揺らして必死で弁解していた、そんな様子を見てエメラもすぐに理解を示す。
「そうなんです?
あれ?でもパールさんとはよくお話しているみたいですけど?」
「あっ、えっと・・・・パールちゃんはその友達だから・・・・」
「ふぅん・・・・。ガラスさんってやっぱりパールさんのこと好きです?」
「へ?え?なに言って・・・・ちがっ
パールちゃんは友達だから!」
真っ赤な顔で必死に否定するガラスにエメラもぴーんときた。
それにエメラも嬉しそうに反応する。
「ふふ、誤魔化したってダメです!エメラの目は誤魔化せないですよ。」
嬉しそうに笑うエメラとは対照的にガラスは真っ赤な顔のまま俯いた。
そんなガラスの顔をのぞきこみながらエメラの発言がさらにガラスを慌てさせることに
「ガラスさん、その想いちゃんとパールさんに伝えるです!」
エメラの予想外の発言にガラスはさらに焦った
「えっ、ええっ、な、なに言って・・・・」
「ダメです、ちゃんと言わないと伝わらないことってあるですよ!ガラスさんそのままじゃパールさんに気づいてもらえないですよ?」
「えっ・・・い、いいよ気づいてもらえなくて、ボクはこのままがいいんだ。」
弱気なガラスの態度にエメラはぷぅと頬を膨らまし
「そんなよくないです!エメラなら好きなら好きってちゃんと伝えるです。
今度こそちゃんとエメラが本気だってことガーネに教えに行くです!
だからガラスさんもちゃんと言わなきゃダメです。
お友達のガラスさんがラブラブになれば、きっとガーネだってエメラのことちゃんと見てくれると思うです!だから
ガラスさん約束ですよ、ちゃんとパールさんに好きって言うです!」
「えっちょっエメラちゃ」
ガラスの返事を聞く間もなく、言いたいことを言い終えてすっきりしたエメラはそのまま通りの向こうへと駆けて行った。
「そんなこと・・・・ムリだよ
だってパールちゃんはガーネ君のことが・・・・」
小さな声でつぶやきながら俯くガラスのほうに、また聞きなれた声が走ってきた。
「わぁぁぁぁーーーーー」
半泣きで駆けて来るのは
「あっ、チール」
それは自分の友ガーネの聖獣であるチール
そのチールが必死にこちらへと逃げてくる、ガラスの存在に気づいたチールはガラスに救いを求めるように駆けてきた。
「ガラス!助けておくれよ!!」
「えっ。どうしたの?」
チールはものすごく焦っているらしく理由を尋ねるガラスにはちゃんと答えずただただ怖いよ助けてくれよと泣きながらガラスにしがみつき、ガタガタと長い毛を膨らませながら震えていた。
それはただ事ではない様子でもガラスも不安になった。
その不安の元凶がこちらへと走ってきた。
ドドドドと低い音が響きながら、ガラスの目の前で止まった。
「おう、小僧、このワシから逃げるとはええ度胸しとるのぅ。」
低い声を響かせながら、ガタガタ震えるチールに鋭い視線を向けるのはチールよりもずっと大型の聖獣。
並みの聖獣よりずば抜けて大柄で引き締まった筋肉と太い前足はそれだけで十分な武器であるかのようだ。
全身短い白い毛で覆われた黄色い小さな目を光らせたその聖獣に人間のガラスも思わず震えた。
自体が飲み込めないガラスに、その聖獣のあとからチールが逃げる原因となった者が現れた。
「おい、ストン。あのバカ聖獣はどこ行った?」
「ブロン!」
その聖獣の主人であるのはブロンだった。ガラスのもっとも苦手な男だった。
ブロンは族長の親族にあたり、代々水晶使いの家で、その家の一人息子だ。昔から族長の親戚であることを鼻にかけていて、周りを見下しているような態度が強く、ガラスはそんな彼に苛められた経験があり、この男が酷く苦手だった。それにブロンはガーネのことをライバル視というより敵意さえ抱いていた、そして弱い自分が標的にされるのが辛かった。
普段はできるだけ関わらないようにしていたのだが、そんなブロンをこのチールが連れてきてしまった。
嫌な汗がじわじわと滲むのをガラスは感じていた。
「あっ、チール、一体なにがあったの?」
焦りを抑えようと必死に自分を落ち着かせながら胸元でしがみついているチールにガラスは訊ねる。
そんなチールが答える前に低いどすのきいた声で
「なにがじゃと?!おんどれ、そこのチヂレ小僧がダンナの衣を汚していきやがったんじゃ、ボケがぁっっ」
「ひぃぃっっ」
「ほっ、本当なの?」
「ワザとじゃないよ、オイラちゃんと謝ったのに、許さんかみ殺すって、オイラ怖くて逃げて・・・」
涙目で訴えるチール
「あ、あの、反省しているし、許してあげても・・・」
「なんじゃとおどれぇっっ」
鋭い牙をこちらに向けるストンの迫力にガラスも激しくびくついた。
そんなガラスたちの様子を笑いながら見ていたブロンは、ガラスとチールの顔を見ながら
「はっ、どこの汚い聖獣かと思ったら、お前たしか、ガーネの聖獣だったよな。
ガーネのやつは聖獣のしつけもろくにできないみたいだな。」
「なっなんだと?そっちだって暴力で脅すような」
主人の悪口についカッとなって抵抗するチールだが
「なんじゃと?!小僧っ」
カッと睨むストンの迫力にまたビビリ
「ひぃっ、ごめんなさいごめんなさい!」
ストンとブロンを前に震えてチールを守ってもやれないガラス
自分を情けないと思いながらも動くことさえできなかった。
「ストン、懲らしめてやれ」
ブロンの合図でストンが飛び掛ろうとした時
「なにしてんのよ!?」
ストンの前にチールとガラスをかばうようにして現れたのは
「パールちゃん?!」
ガラスの目の前に立つ少女はパールだった。
ヴヴヴ、と唸りながら鋭くパールを睨むストンにパールは睨み返しながらブロンにきつく言い放つ
「相変わらず、弱いものイジメしか能がないのね。
そんなんだから未だに大神官様に認めてもらえないんじゃない?
表ではいい顔してても裏でこういうことしているって知られたらどう思われるかしら?」
「この女ぁ、ギタギタにされたいんかい」
パールに飛び掛ろうとしているストンにブロンが止める。
パールの大きな声に何人かなにごとかと集まりだしたからだ
「いくぞ、ストン」
主人の命令に納得いかない表情のストンだったが、渋々とそれに従いその場を去る。
同時に納得いかなかったのはブロンもだった。
「あの生意気女、今に見ていろよ」
ガーネに対する苛立ちをギリギリとパールに向けようとしていた。
「はー、たくなんなの?あいつ。」
緊張の解けたパールは「はー」、とため息とともに肩をおろす。
「パールぅ、助かったよ、今回ばかりはお前に助けられたな。」
そんなチールの態度に呆れたようにパールはまたため息をした。
「今回ばかりはってなによ?アンタも主人に似てトラブルメーカーね。」
そんなパールの言葉にキーとチールは叫びながら半ギレ
「なんだと?!ガーネの悪口言うなよ!ブース!」
「くそっ、ほんとかわいくない聖獣。もう二度と助けてやんない!」
チールとパールは普段からこんなカンジの関係だ。
「パールちゃん、ごめん・・・」
チールと違い力なく、申し訳なさそうに言うガラスに、パールは心配気に
「なに謝っているのよ、悪いのはあいつでしょ!?」
「・・・ごめん。ボクほんとうに、ダメで・・・」
パールの顔を見ることもなく、ガラスはその場を去った。
そんなガラスの想いにパールは気づいてはいなかった。
つぎのぺーじ もどる。