第十五話 破滅の光希望の光

ヤード一行首都に赴く
協会本部に乗り込むだって
危険も承知さ、囚われた人救うため
だけど首都は警備も厳しい
兵士たちに魔動ロボだよ
早速ロボに乗ったヤデトが現れたよ
なんとドーリアがホツカたちを待っている?
危険危険な罠のにおいがプンプンだよ
それでも行くしかないんじゃない?
処刑装置に囚われの男オトート
仲間たちの命を盾に、ドーリアが迫る条件とは
なにかな?なにかな?
ああやっぱり、ホツカが処刑が条件だって?!
どうするどうなる?ホツカはここでおしまい、なのかい?
見よ!キチガイどもの夢の跡!いよいよクライマックスだよ!









ドーリアが出してきた条件、それはホツカが代わりに処刑を受けることだった。
まさか、というよりやはりだろう。ホツカも師匠もドーリアの企みは読んでいたようだ。その顔に驚きは見えない。

「なっ、なんだと?」
「そんな、どうしてホツカ君が? ダメよー、そんなこと」

シャニィやフィアは驚きと不満を露にする。囚われているオトートやアーニも、「だめだ、そんな条件は」と反対する。オトートなどホツカたちのために協会に抗議に行ったというのに、自分の行動があだとなってしまう。
他人に関心のないカツミはともかく、ヤードは動揺することなく無言でいる。ホツカやドーリアの真意を探っているのだろうか?

「わかった。僕が代わりに処刑を受けるよ」

「ええっホツカ君?」「おいっホツカ、お前なにをバカ言って」

フィアたちが声を上げるが、ホツカの決意は揺らがない。ホツカの返答を聞いて、ドーリアはフフッと目を細めて怪しげに笑った。
嬉しいのだろうドーリアは。ホツカを殺せることが。ホツカこそが唯一、自分を殺すことができる存在だからだ。格下とはいえ、ドーリアにとっての唯一の弱点、それが魔法使いであるホツカの力。

「ヤードさん」

「うん」

ホツカはヤードに目配せをした。ヤードは静かに力強く頷く。ヤードにはわかった。ホツカは死ぬつもりなどないのだと。あの目を見ればわかる。戦いに向かう少年の目には、恐怖といったマイナスの感情は見えなかった。

階段を上っていくホツカ。魔動兵士に囚われ、オトートと入れ替わりで鉄の檻の処刑装置の中に入れられる。
キリキリと気味の悪い音を立ててホツカの入った処刑装置は上昇する。

「約束だ、ドーリア、みんなを先に解放して」

処刑装置の中から、ホツカは目下のドーリアにそう求める。だが、ドーリアは

「いいえ、先にあなたを処刑してからよ」

やっぱりね。とホツカは心でつぶやく。当然師匠もドーリアの企みはお見通しだ。ホツカを処刑してからの解放などという約束が守られるとは信じ難い。

「やっぱり、そう言うと思った…」

ふー。息を吐きながらホツカはドーリアから目線を外し尻をついた。ホツカもあきらめて処刑を受ける気になったのだろうか。いや自暴自棄になった感じでもない。人ではないホツカには人のように恐怖する感情もあまりないのだろうか。いやに落ち着き払っている。


「ああ、なんてことだ。私の代わりに、あの少年のような未来あるものが犠牲にならねばならないなんて。ヤードさん、私はなんとかして彼を助けたい。どうすればいいんだ」

解放されてヤードたちのもとに降りてきたオトートは、自分の身代わりとなって処刑装置に拘束されたホツカをなんとかして助け出したいと主張する。オトートだけじゃない、アーニも同じ気持ちだ。同じくフィアやシャニィも、ホツカの犠牲は食い止めたいと思っている。すきあれば救出に走る気持ちがあるだろう。焦る彼らに反してヤードは落ち着いている。「大丈夫」だと彼らに告げる。なぜヤードだけがこの状況で落ち着いているのか。先ほどの短いやりとりの中で、ホツカはヤードに作戦を伝えていたからだ。風の伝達魔法でホツカの言葉はヤードの耳の中に一瞬で流れ込んでいた。

「処刑装置には魔法の力が組み込まれているらしい。ホツカ君を処刑するには魔法の力でないと不可能だからね。処刑装置が作動する瞬間、その時にホツカ君がみんなに力を与え、作戦を伝えてくれる。みんなで連携すれば、このピンチも必ず切り抜けられる」

ヤードの言葉にオトートたちは頷く。そして、処刑装置のほうに注目する。緊張で汗がにじむが、不安な感情のせいだけじゃない。


ホツカとドーリアの様子を伺いながら、ビスは通信機で管理部と連絡を取る。処刑装置は天候制御装置より動力を得ている。処刑装置の作動は管理部からの遠隔操作で行われるからだ。管理部と通話しながら、ビスは怪訝な顔になる。その理由を側にいるドーリアに伝える。

「ドーリアよ、どうも天候の関係から、装置に回せる動力が微量になるというのだが…」

首都上空の天候がよくないらしい。首都内の天候の状態を保つため、処刑装置に回す動力が微量になると回答があったらしい。処刑どころかちょっとしたバツゲームレベルのダメージしか与えられないようだが。ビスの言葉に、ドーリアは問題ないわと答えた。

「装置が起動さえすれば充分よ。私の魔法力でもって威力を倍増できるわ」

ビスからすれば、魔法のことは詳しくわかるわけではないが、ドーリアが自信ありげに答えるのだから処刑は問題なく行えるということだろう。ビスは再び通信機で管理部に指示を出す。「処刑装置を起動しろ」と。


「うおおっなんだ?!」

シャニィが驚きの声を上げる。広場に立つ天候制御装置が低い機械音を立てて呻り出したことに驚いたようだ。処刑装置の起動が始まったらしい。しばらくして、ケーブル伝いに装置にと力が流れる。パチパチと酷く不安定な電撃がホツカの体を襲う。動力が弱すぎるせいか、装置の動作も不安定だ。それだけでなく、周辺に浮遊している精霊たちが不穏な動きをしている。天候の悪化の影響や、天候制御装置の動作に影響を受けているのだろう。
不安定な動きながらも、そこに活発に集まっていたのが雷の精霊だ。ホツカにとっては相性の悪い属性になるが、今の不安定な状況がホツカにとって吉と働くかもしれない、という思惑があった。

「ドーリアいったん装置を止めたほうがよくないか。天候制御装置から異音がしている」

異常があるかのような異音がタワーのほうから響いている。処刑装置と連動させたためとはいえ、今までにないおかしな音にビスは一度停止をしようとドーリアに呼びかけるが、ドーリアは「問題はないわ。そのまま動かし続けてちょうだい」と返す。協会の最高責任者であるドーリアの指示は絶対だ。緊急事態があればすぐに対応できるよう管理部との通信を繋いだまま、ビスはドーリアの指示通り停止を見送る。

「さあて、ホツカ、処刑を行いましょう。あなたに裁きの光を」

にこり、と微笑むドーリアはゆっくりと歩きながら恵みを与える女神のように両手を掲げる。ドーリアの周囲が眩く輝き出す。凶悪な光魔法によってホツカを殺すつもりだ。

ドーリアの魔法発動直前、「いまだ!」とホツカが風の伝達魔法で仲間たちの耳に作戦の合図を送る。眩い光がドーリアの前に集まり凝縮していく。殺戮の光を真じかにしても、ホツカの心は揺らがない。目の前の相手に集中する。他のことは、仲間たちがなんとかしてくれるはずだから。

「よしみんな、作戦通りいこう」

ヤードの合図にフィアたちも頷く。ヤードは機械銃の銃口をホツカの入っている装置上部のケーブルに向けて発砲する。

「ファイヤー!」

掛け声と同時に銃弾は見事ケーブルに当たり、処刑装置は落下する。

「よっしゃー、いっくよホツカ!」

今度はシャニィが手製の爆弾をホツカのいる装置目掛けて投げつける。もくもくと煙が噴出す目くらまし弾だ。ホツカの周囲は一気に視界が悪くなるが、ドーリアの光魔法は煙の壁も突き抜ける眩さだ。もちろんシャニィのバクダンで防げる魔法じゃない。対ドーリアに対してはシンクロ魔法を駆使するほかない。


「小細工など無駄なあがきよ、ホツカ」

煙の中むせる事もないドーリアは凛として立っている。ゆっくりとホツカへと近づく。兵器のような光を抱えながら。余裕があるのはドーリアのほうだ、当然だ。ピンチはホツカだ。なのに、ホツカの顔には焦りがない。落下の瞬間ホツカは装置から脱する。装置は床に落ちぐしゃりと変形して転がった。

「無駄なあがきなんかじゃない」

言い聞かせでも虚勢でもなく、ホツカがそういい返せる根拠は目の前にいる。今の彼女にはわからないであろうそれを。一人ではドーリアには勝てない。そう教えてくれたのは師匠だし、それより先にホツカにそのことを教えてくれたのは…ドーリアだ。

「ドーリア、あなたが僕に教えてくれた、あの日…」

ドーリアを避けるように煙が流れていく。ドーリアとホツカ二人を包むようにして煙が広がっていく。周囲からは二人の姿は煙で見えなくなっているだろう。そのせいか、まるでここには二人だけしかいないかのような錯覚に襲われる。起動中の天候制御装置の異音も周りの騒ぎもなかったかのように。

あの日…
ホツカとドーリアだけが知るあの日のことを、忘れるはずがない。ドーリアと出会い、家族を失い、魔法使いになって、ドーリアを倒す決意をしたあの日のことを。平凡な日々から非日常の力を与えられ、過酷な運命を課せられたあの日のことを。
ホツカにとってもドーリアにとっても、人生の転機となった重要な出来事。

今でもホツカはあの日出会ったドーリアこそが本当のドーリアで、今目の前にいるドーリアは本当のドーリアじゃない。本当のドーリアは体を失い漂う魂だけの存在。今にも消え入りそうな、だけどもその運命に抗おうとしている彼女の良心のすべて。

「あの日…、ドーリアは私を滅ぼすため、ホツカに力を与えた。それこそが無駄なあがきでしかなかったということ。ホツカ、あなたもすぐに思い知るでしょう。己がどれだけ無力な存在であるか。
おろかなのよ、私に抗おうとすることが」

放たれる殺戮の光。今だ!とホツカはパートナーの名前を叫ぶ。

「ヤードさん!」

ホツカからヤードのいる方向に風魔法で煙を晴らし、ヤードにターゲットを指し示す。

「よっし、ファイヤー」

ヤードは機械銃でホツカの後方の処刑装置に発砲する。「光よ」ホツカは魔法を発動させる。光属性のヤードの恩恵で一帯の光精を集める。

「私に光で対抗するつもり? おろかよ」

ドーリアはそういうが、彼女の手から攻撃魔法がまだ放たれない。同じ光の精霊が二人の周りに集まりすぎて互いの術に影響が出ている。どちらの主に従うべきか、精霊が迷ってしまっているのだろうか。一帯を漂い、不安定に動き始める。

「僕が信じるのはあなたのような破滅の光じゃない、希望の光だ。僕は抗うよ、あの人たちと一緒にね」

ドーリアの攻撃魔法がかき消され、集約された光の精霊がホツカの側で輝き始める。

『あれが光のシンクロ魔法か?…ドーリアのものとは違う、ホツカよお前の魔法は』

離れたところから二人の様子を見守る師匠がつぶやく。ホツカの放つ魔法はドーリアに対する攻撃じゃない。光の魔法は広場一帯に広がり、仲間たちを勇気づけるポジティブな効果魔法。集まりすぎた光の精霊は装置周辺で不安定に漂っていた雷精を刺激してしまい雷精が暴れ出し、いたるところでスパークして魔動兵士やら機械に故障を起こす。

「よし今だ。ここはカツミにまかせて、シャニィ君はアーニさんたちを連れて避難してくれ」

「わかったおっさん。おっさんたちいくぞ。カツミがいるなら大丈夫だしな」

シャニィがアーニとオトートと一緒に広場を脱する。兵士たちのいくつかは雷撃で倒れたとはいえ、大半が動いている。その大群にカツミが殴りかかって破壊する。


「ふふ、抗う…か。ホツカ、あなたもきっと同じ、ドーリアと同じ後悔をすることになるわ。
私に抗える存在など、いはしないのだから。たとえ、魔法使いといえども」

怪しく微笑みながらドーリアは後ろ向きにゆっくりと歩き出す。ドーリアが次の魔法を発動させるモーションはない。だが上空に黒くうごめく雲が広がり、精霊たちの挙動が一気に不安定さを増す。

「禍から逃れることなどできないのよ」

黒い雲から雷の柱がドーリア周辺に落ちる。「うわっ」雷撃に驚いてビスは思わず建物の影に隠れて難をしのいだが。今のはドーリアの魔法、というより天候制御装置の不具合でこの広場上空の天候がますます悪化したようだ。通信機で管理部に連絡をとろうとしたが雷撃の影響か故障しており、繋がらなくなっていた。そんなビスの横をドーリアがすり抜ける。まるで何事もなかったかのように。慌ててビスはドーリアを呼び止める。

「ドーリア、天候制御装置が故障したかもしれん。誤作動を起こせば首都に被害が出るかもしれんぞ」

「叔父上、壊れたところでたいした問題ではないわ。必要なら同じような装置をまた作ればいいだけのことでしょう」

しれっとドーリアはそう答えて、奥に建つ本部の建物へと姿を消した。ドーリアの言葉にビスはショックを受けていた。彼女の言葉はかつての彼女の信念をぶち壊すものだったからだ。天候制御装置はドーリアにとっても特別な意味を持つものだというのに。



「ああーん、今の雷すごかったわー。びっくりしたー。ワタシや組長の武器、ちょっとやばいかもよー」

ドーリア周辺に落ちた雷にさすがにフィアも驚いた。広場に残っているのはフィアにヤード、兵士たちを相手にしているカツミに、ホツカだ。ホツカのいた近くにも雷は落ちていたため、その煙でまだくすぶっている。

「ヤードさん、脱出しましょう」

ホツカがヤードたちのいる広場へと飛び降りてきた。目的はオトートの救出だ。オトートはシャニィたちと一緒に脱出した。ここに長居する必要はない。天候も荒れ出して危険だ。早めに首都を脱したほうがいいだろう。兵士たちをつぶしている後方のカツミへとヤードが呼びかける。

「もう充分だ。カツミ引き上げるぞ」

ヤードの合図に不服そうに舌打ちしながらも、カツミもヤードたちのほうに引き上げてくる。
広場から撤退しようとするヤードたちの前に向かってくる二つの声があった。一つは若い男の、もう一つは年配の男の声のようだ。

「ったく管理部の連中なにやってんだよ。計器の数値がずっと異常じゃねぇか。あの装置が壊れたら、大変なことになっちまうっつーのに」
「たしかにそうだが、上の指示もないのに勝手に修理に向かうのはまずいぞ、ボルト」

薄汚れた作業着姿の白髪のぼさぼさ頭の年配の男と、ツンツン頭の血気盛んそうな二十代くらいの男が現れた。二人でなにか揉めながら広場のほうに走ってくる。年配の男のほうは青年を止めようとしているようだが、ムリだとあきらめた様子で彼の後に続いている。当然のようにヤードたちに鉢合わせる。会話の内容からして彼らは協会の関係者だろう。首都の住民であればそう見るのが正しいだろう。下手に接触をさけ、ここから逃げることが重要だ。だが、あちらのほうから絡んできた。ヤードたちを目にすると、ますます青年の目は釣りあがり、怒りを露にした。

「てめーらの仕業か、このテロリストども。ぜってーーゆるさねぇ。あの装置は偉大な発明家の最高傑作だ。それをぶっ壊そうってなとんでもねぇ悪党だぜ」

両手の工具を振りかざしながらヤードたちのほうに襲い掛かるツンツン頭の青年に、フィアが対抗しようと立ちはだかる。

「フィア、一般住民には危害を加えないように」

「ああーん、わかってるわーー。ねえ、お兄さん、装置の故障は私たちの仕業じゃなくってよーー」

ヤードの前に立ちながら、武器の足を振り上げて威嚇しながら、フィアは突進してくる青年に説明するが

「すっとぼけんじゃねー。協会にたてつくテロリストどもが広場で暴れてたって事実はお見通しなんだよ」

上手いこと傷つけぬよう、浅い蹴りで…とフィアが目論むが、青年は軽快なフットワークでフィアの足元にもぐりこむ。「いやーん」とフィアが艶かしい声色で色っぽい太ももをチラリと見せ付けるが、青年はガン無視で、フィアの足元に集中し「おらあぁぁっっ」の掛け声とともに両手の工具でフィアの足を攻撃…ではなく。

「いやーーん」

バラバラと音を立ててフィアの足にぴったりフィットしていた鋼鉄のブーツはあらゆるパーツに分かれて飛散した。

「フィアさん!」

「ワタシなら大丈夫よ。カツミ、組長とホツカ君をお願いよー」

いったんしゃがみこんだ後、フィアはすぐに立ち上がって後方のカツミにそう呼びかける。

「ふん、おれっちに機械で対抗しようってんのが間違いなんだよ。どきやがれ!」

鼻息荒く青年の目的は天候制御装置らしく装置のほうに駆けていく。こちらに危害を加える気はないようだし、すぐに広場を出ようとヤードたちは動き出す。ブーツを壊されたフィアは身軽になったが、武器を破壊された彼女は戦えないだろう。ヤードは戦力としては乏しいため、まともに戦えるのはカツミとホツカだけ。

『ホツカ、急げよ。援軍がこちらに向かってきておる』

師匠がホツカのほうに飛んできながらそう伝えてきた。ここは首都、協会の本拠地のある場所だ。兵士たちも大量に配備されている。
持ち場に戻っていたヤデトも、再び現れた。ロボに乗ったままこちらへと兵士たちを率いてやってくる。

「ボルト、こいつらはボクが引き受ける。お前は早く天候制御装置の修理をしろ!」

天候制御装置の扉の中入っていくボルトを確認しながら、ヤデトが叫ぶ。巨大なハンマーを振り上げながら、ホツカたちを包囲する。

「ああーん、生意気なボクのお出ましねー」
「ふむ、私は少年の味方だが、おいたをする少年はしっかりと指導をしないとね」

『のんきなことを言っとる場合か…』

フィアとヤードの緊迫感ゼロのやりとりに師匠はあきれるが。ピンチではあれど、ヤードたちからは余裕も感じられる。先ほどのホツカの光魔法の効果が持続しているのだろう。希望の光、にはまだ程遠いが、希望を掴み取れる可能性を感じる光。

「ふん、どけ!」

襲い来るヤデトのロボに突進するのは後ろに控えていたカツミだ。カツミの人間のものとは思えない硬く重い拳が鋼鉄のボディを叩きつける。

「ぐおぅっ、こなくそっ」

操縦席のヤデトにも衝撃があり、やけっぱちのように叫び、だが必死のレバー操作で踏ん張る。ヤデトサイドも自分だけではない。多数の兵士たちがヤデトの援護に回る。カツミは兵士たちをぶっ飛ばしながら、ロボを殴りつける。スクラップの山ができるよりも、駆けつける兵士の数が多い。カツミの強さがあっても、フィアが非戦闘員となっている現状戦力の補充ができないこちらが不利だろう。
オトートを助け出しても、ヤードたちが囚われれば意味がない。

「ヤードさん、力を貸してください。ここは光のシンクロ魔法できりぬけます」

ホツカがヤードの隣に立って、彼に提案する。

「うんそうだね、天候制御装置が修理されてしまうと、ますますこちらは不利になるだろうしね。今のうちに切り抜けるしかない。頼むよ、ホツカ君」

「はい、いきます」

杖を掲げ、ホツカは光の精霊を再び呼び寄せ、眩い光でいったいを包む。ヤデトからも、兵士を通じて状況を見ている管理部側からも真っ白になった視界にはなにも映らない。

「くっっ、ホツカめ魔法か? くそっなにも見えんぞ! おい、管理部、早く援護しろ!」



あの後、移動魔法を駆使してホツカたちは協会の包囲を抜け、首都を脱し、シャニィやアーニたちと合流した。
アーニとオトート兄弟は今回の件でますます協会への怒りを募らせた。彼らは彼らで反協会組織活動を行っていくそうだ。ヤードたちとは別行動になるが、今後も力を合わせ、協会に立ち向かおうと誓い合った。

ホツカたちはヒャケンに戻り、ヤードの館にて休息をとっていた。

「はー、ワタシのブーツ修理に出してきたわ。まったく、大変な目にあったわー。だけど、ホツカ君のおかげでみんな無事に戻ってこれてなによりだわ、ねぇ組長」

身軽になったフィアの足には女性的なパンプスがあった。足にくっきりと鋼鉄ブーツのあとがあり、普段酷使しているように伺えるが。

「そうだね、ホツカ君のような勇敢な少年がいてくれて、大きな力になっているよ。改めてありがとうホツカ君」

にこりと微笑みながらホツカを称えるヤード。フィアやシャニィも同意するように誇らしげな顔つきだ。だがそれにホツカは困惑した顔でわずかに目をそらす。みんなから褒められるような大それた存在なんかじゃない。ヤードたちのように、正しい行いで進んでいるわけじゃない。ホツカが戦う理由は、とても褒められるような大層な理由ではないと自覚しているから。

「ん、どうしたんだい? ホツカ君」

「あ、えとその。僕はみんなに褒められるような存在じゃないんです。僕は善行で協会と戦っているわけじゃありませんから…」

曇っていくホツカの表情からフィアたちもそれ以上やんやと持ち上げるわけにもいかず。「そういえばさ」とシャニィが疑問に思っていたことをホツカに訊ねる。

「お前、ドーリアとどういう関係なんだよ。顔見知りみたいだけどさ」

ドーリアとの関係は彼女の弟のヤデトですら知らなかった。それは、ホツカとドーリアだけの秘密の出来事…。

「うん、ちょっとした因縁でね。二年前、僕の両親はドーリアに殺された。だから僕は協会をドーリアを倒さなきゃいけないんだ」










ドーリアの罠になんとかはまらずにすんだよね
囚われのオトート無事救出し
ホツカはヤードとシンクロ魔法発動だ
ドーリアの破滅の光に対抗するは、希望の光
それはみんなを勇気づける熱い魔法なんだって
トラブルも力に変えて、ホツカたち目的を果たしたぜ
ドーリアの脅威消えて、あとはみんなで脱走だ
そこに現れたボルトに、さらにヤデトにまたまたピンチきちゃうけど
やっぱり頼りになるよホツカだよ
またまた光のシンクロ魔法で切り抜けた
協会との戦いはまだまだこれから、そう始まったばかりなんだぜぇ
物語は新たな幕へーといきたい所だけどー
その前に気になるホツカとドーリアの過去のお話だよ
ついにホツカは語ってくれるのかい?
続きもぜひとも聴きにきてくれよ?シーユーバイチャッ!


BACK  TOP  NEXT  2013/08/26UP